トリディマイト(鱗ケイ石) tridymite SiO2  [戻る

六方晶系(高温型),斜方晶系(低温型)。常温ではすべて低温型になっており,二軸性(+)2Vz=35〜90°(アイソジャイアーが観察できるほど粗い結晶は希) α=1.469〜1.479 β=1.470〜1.480 γ=1.473〜1.483 γ-α=0.002〜0.004 複屈折量が小さいため,時にほぼ等方体に見え,火山ガラスと紛らわしい。また,沸石類とは区別困難。


色・多色性/無色。多色性なし。

形態/
多くは他形でケイ長質火山岩の石基中に微粒集合体をなす。

へき開/
認められない。

消光角/
定義されない。

伸長/定義されない。

双晶/くさび形の結晶体が細かく鋭角で交わる接触双晶が時に認められる。

累帯構造/少量のNa,K,Alを含むことがあるが組成変化に乏しく認められない。

産状新生代の珪長質の火山岩類の石基部分や,球顆流紋岩中の球顆部分としてしばしば見られる。新生代の凝灰岩や珪質泥岩の自生鉱物としても産し,同様な成因のクリストバライトや沸石類とは区別困難。一般にいずれも微粒で特徴に乏しく,火山ガラスなどとも紛らわしい。火山岩中のものは高温型トリディマイトから低温型トリディマイトに相転移したものであるが,自生鉱物として生成したものは最初から低温型トリディマイトとして生成したものである。

球顆流紋岩中の球顆部分のトリディマイトまたはクリストバライト
クロスニコルで灰〜灰白色の干渉色を示す部分

画像のものはトリディマイトまたはクリストバライトであるが,このように微細であり,光学性では区別困難。長石類や石英よりも干渉色は低めである。
流紋岩類では石基部分にも火山ガラスに混じってこのような状態で多少含まれていることが多いが,中生代以前の古い時代のものには少ない。

球顆流紋岩
丸い球顆が目立ち,その部分には微細な長石類の他にトリディマイトやクリストバライトが含まれる。